【愛宕塚古墳】(あたごつかこふん)大阪府八尾市

愛宕塚古墳】(あたごつかこふん)大阪府八尾市

 

古墳時代後期の横穴式石室墳。封土は墳頂部を除いてよく保たれており墳丘は径約二五メートル、高さ六、五メートルで、円墳の形状をよくとどめている。巨石を積み上げた横穴式石室は奥行一六、七六メートル、玄室の高さ四、一メートルを測り、高安古墳群中最大規模の後期古墳である。石室は古くから開口していたが、昭和四二年学術調査が行われた。遺物では凝灰岩製の家形石棺片、鉄製利器、金張鉄製品、土器のほか玉類、鉄地金銅張馬具など優れた副葬品が多量に残存していて被葬者の地位、性格を物語っている。

 

所在地 :大阪府八尾市神立4丁目
アクセス:近鉄服部川」駅から徒歩約23分/近鉄バス太田川」から徒歩約10分

 

愛宕塚古墳】(あたごつかこふん)は、神立墓地の西側にある直径約22.5mの円墳で、南向きの両袖式(りょうそでしき)の横穴式石室。石室の大きさは、全長15.7m、羨道部(せんどうぶ)8.7m、玄室部(げんしつぶ)7.0m、羨道幅2.1m、石室幅は奥壁で3.1m、高さは玄室で4.2mあり、大阪府下最大級です。盗掘を免れた多くの副葬品が多数検出されました。

 

副葬品;
「大刀について」
龍文銀象嵌鞘金具(りゅうもんぎんぞうがんさやかなぐ)付捩(ね)じり環頭大刀(かんとうたち)が見つかりました。龍文銀象嵌の鞘口(りゅうもんぎんぞうがんさやぐち・写真の金具)や鞘尻(さやじり)の出土例は極めて少なく、捩じり環頭大刀の分布の中心は大阪府奈良県を中心とする畿内とその周辺です。その他、武器としては、鉄鏃(てつぞく)、鉄鉾(てつほこ)、石突(いしつき)、玉類、被葬者の服に飾りつけたと考えられる金銅製の帽子形飾金具(ぼうしがたかざりかなぐ)、勾玉形(まがたまがた)飾金具類等が出土しています。

 

 

「馬具について」
鉄地金銅張の馬具には、腰佩(ようはい・人の腰に飾るもの)もしくは花弁形(かべんがた)の杏葉(ぎょうよう・馬の飾り)と推定される垂飾板(すいしょくばん)をはじめ、鞍(くら)の磯金具や鏡板(かがみいた)の破片、子持剣菱形(こもちけんびしがた)杏葉(写真の馬具)、辻金具(つじかなぐ)、雲珠(うず)、木芯鉄張壺鐙(もくしんてつばりつぼあぶみ)、革の飾金具、鉸具(かこ)等があります。垂飾板は、その縁取りの文様が波文帯(はもんたい・波状の文様)に点を配するもので、朝鮮半島出土の金銅冠(こんどうかんむり)製品にみられる文様と同じで注目される資料です。 

 

「土器について」
愛宕塚古墳で出土した多数の土器は、時期幅がありますが、主に6世紀代の須恵器(すえき)・土師器(はじき)が多数出土しています。須恵器には大型器台をはじめ、壺・はぞう・高杯(たかつき)・台付壺等合わせて百点あまりが検出されています。また、土師器には高杯や須恵器を模した壺等もあります。